離婚で家を売っても住み続けられるリースバックとは？

離婚した後も、子どもと一緒に今の家に住み続けたいという女性は多いと思います。しかし、住宅ローン返済中の場合、夫名義の家を妻名義に変更するのは困難です。離婚後も夫名義の家に妻が住み続けることにはリスクが伴います。このような場合には、リースバックを検討してみましょう。

リースバックとは

リースバックは、不動産会社や不動産投資家に自宅を買い取ってもらい、新たな所有者から賃貸してもらう方法です。リースバックでは自宅を売却することになるため、住宅ローンは清算されます。リースバック後は住宅ローンを払う必要はなく、新たな所有者に対して家賃を支払うことになります。

女性は離婚の際、子どもの生活環境を変えたくないので、今の家に住み続けたいと考えることが多いはずです。住宅ローン返済中で、離婚時点で家を自分のものにできない場合には、リースバックを検討してみましょう。

離婚後も元夫名義の家に住み続けるリスク

離婚時に夫名義または夫婦共有名義の自宅がある場合、住宅ローンの返済が終わっていなければ、妻への名義変更が困難です。妻に十分な収入があれば名義変更できるケースもありますが、金融機関が認めてくれるケースは現実にはかなり少なくなっています。

離婚後、夫がそのまま住宅ローンを払い、妻が住み続ける約束をするご夫婦もいらっしゃるかもしれません。ローン完済後に妻に名義変更する旨約束して離婚協議書を作成しているようなケースもあると思います。

しかし、夫が住宅ローンを払わなくなれば、最終的に家は競売にかけられ、妻は出て行かなければならなくなります。たとえ離婚協議書で将来の名義変更を約束していても、家が自分のものになるという保証はありません。

そもそも、住宅ローンは本人が住むことを条件に低金利で貸付を受けているものですから、住宅ローンを借りている本人が住んでいないのは契約違反です。もし金融機関にバレた場合には、住宅ローンの一括返済を迫られても、文句は言えないことになります。

離婚時にはまだ家族という感覚が残っていますから、相手を信頼して、住宅ローンを払ってもらう約束をすることもあるでしょう。しかし、自分の住まない家のローン負担というのは予想以上に大きいものです。途中で元夫が住宅ローンを払わなくなる可能性はかなり高いと考えておいた方がよいでしょう。

リースバックを利用するメリット

離婚時にリースバックを選択するメリットとしては、次のような点が挙げられます。

今まで同様住み続けられる

リースバックで家の所有者が変わっても、近所の人からはわかりません。引っ越しをする必要もなく、これまでどおりの生活を送ることができます。

買取代金が一括で支払われる

リースバックの際には、買取代金を一括で支払ってもらえます。住宅ローンを返済して余った分は、一時金として有効活用できます。

月々の支払い額を減らせる可能性がある

リースバックをすれば、住宅ローンの支払い額よりも低い家賃設定になることもあります。離婚後に自分が住宅ローンを負担するのは困難と考えている場合でも、リースバックの家賃なら払える可能性があります。

自分でメンテナンスしなくてもいい

自宅が自分のものでなくなるわけですから、管理や修繕などの費用はオーナー負担になります。

元夫に賃貸してもらうよりも安心

離婚後、住宅ローン金額分の家賃を払って元夫に家を賃貸してもらう約束をする人もいます。離婚した元夫に家を賃貸してもらうよりも、最初から投資目的の第三者に賃貸してもらう方が安心です。

元夫が、住宅ローンを借りたまま家を他人に賃貸しているとなると、金融機関との間では契約違反です。もし金融機関にバレた場合、元夫はもっと金利の高いローンへの借り換えを要求されるか、一括返済を迫られる可能性があります。妻は、どこで追い出されることになるかわからないということです。

リースバックのデメリットとは？

リースバックの主なデメリットは、以下のような点になります。

家が自分のものではなくなる

リースバックをすれば、家を売却することになるため、家は他人のものになります。ただし、将来買戻しできる可能性もゼロではありません。

必ず利用できるわけではない

住宅ローンが残っている家でも、必ずリースバックできるわけではありません。住宅ローン残高や物件の査定価格、立地条件等によっては、リースバックができないこともあります。

オーバーローンの場合にはブラックリストに載る

自宅の査定価格よりもローン残高が大きい場合（オーバーローンの場合）でも、リースバックできる可能性はあります。ただし、この場合には任意売却という方法で売却しなければならないため、債務者の信用情報に傷が付き、いわゆる「ブラックリストに載った」状態になります。債務者が元夫である場合には、本人が承諾しないことも多いでしょう。