離婚後の名字と戸籍

離婚した後の名字や戸籍のルールについて、よくわからない方も多いようです。
ここでは、離婚後の名字と戸籍がどうなるかについて説明します。

 

なお、以下は、結婚したときに名字を変えていたのは女性=妻の方という前提で記載しています。
また、日本では同じ戸籍に入っている人は同じ名字ということをまず知っておいてください。

 

●妻の名字

離婚する際には、妻は旧姓に戻るのが原則です。
ただし、離婚後3ヶ月以内であれば、「結婚していたときの名字をそのまま名乗りたい」と申し出ることができます。

 

この申し出は、市区町村役場に対して、「離婚の際に称していた氏を称する届(戸籍法77条の2の届)」というのを提出して行います(届出用紙は、役所で離婚届とセットで配布されています)。
旧姓に戻りたくない場合には、離婚届と一緒にこの用紙を記入して役所に出せばOKです。
離婚届と同時に出さなかった場合でも、離婚後3ヶ月以内なら役所に提出できます。

 

なお、離婚後旧姓に戻る場合には、結婚前の親の戸籍に戻るか、自分一人の新たな戸籍を作るかを選べます。
離婚後旧姓に戻らない場合には、自分一人の新たな戸籍を作ることになります。

 

●子どもの名字

離婚によって夫の戸籍を出て行くのは、妻だけになります。
子どもは夫の戸籍に残り、夫の名字のままです。
つまり、親が離婚しても、それだけでは子どもの名字は変わりません。

 

親権者が母親になったからと言って、母親の戸籍に子どもが自動的に入ることはありません。
母親が旧姓に戻った場合には、たとえ親権者として子どもと一緒に暮らしていても、何も手続きしなければ母親と子どもの名字は違うことになります。

 

 

●子の氏の変更許可申立てとは?

結婚している間は、父も母も子も同じ戸籍に入っています。
しかし、離婚すると母だけがその戸籍を出て行き、子は父の戸籍に入ったままです。
子はどちらの親の戸籍に入っていてもかまわないので、父の戸籍を出て母の戸籍に入ることもできます。
子を母の戸籍に入れるためには、家庭裁判所で「子の氏の変更許可申立て」という手続きをする必要があります。

 

母が旧姓に戻った場合には、子の氏の変更許可申立てを行うことにより、子を母と同じ名字にすることができます。
母が旧姓に戻らなかった場合には、何もしなくても母と子の名字は同じですが、子の氏の変更許可申立てを行って、子を母の戸籍に入れることもできます。

 

「子の氏の変更」と言うと、子どもの名字を変更する手続きのように思いますが、子どもの名字はそのままで子どもが入っている戸籍だけを変更する場合もあります。
なお、「子の氏の変更」は離婚後すぐにしなければならないわけではなく、いつでもできます。

 

以下、誤解しやすい点をピックアップしました。

 

・子どもの名字は親権者の名字と同じでなくてもかまいません。
・子どもは親権者の戸籍に自動的に入るわけではありません。
・両親が離婚しても、子どもの戸籍に変動はありません。
・子どもは両親の離婚後、どちらの親の戸籍にも入ることができます。
・子どもは両親の離婚後、どちらの親の名字でも名乗ることができます。
・離婚後何も手続しなければ、たとえ名字が同じでも、母と子は別の戸籍に入っています。