離婚に至る前の問題
Q. 夫に離婚を要求されましたが、私は離婚したくありません。どうすればいいですか?
A. 協議離婚の場合には、お互いが合意しなければ離婚は成立しません。相手に離婚を迫られると、だんだん「離婚しなければならないのではないか」という気持ちになってくるものですが、法律上はひとたび夫婦になれば、そんなに簡単に離婚はできないようになっています。
現実問題としては、離婚したくないのであれば、まず相手に応じられない旨を伝えた上で、できることを考えていきましょう。特に、長期間かけて関係が悪化してしまった夫婦は、すぐに関係が改善するということはありません。夫婦関係を修復したいのであれば、それなりの時間をかけて、できることを積み重ねていく必要があります。
離婚協議について
Q. 離婚協議ではどのようなことを話し合えばいいのですか?
A. 離婚協議で話し合うべきことは、基本的には、財産分与、慰謝料、年金分割、お子さんがいる場合にはこれに加えて親権、養育費、面会交流になります。その他、ご夫婦やご家族の事情により、話し合って決めておいた方が良いことは離婚する前にきちんと話し合っておきましょう。
Q. 離婚について夫と話し合いたいのですが、既に別居していて話し合う機会がありません。どうすればいいですか?
A. メールやLINEで話し合ってもかまいませんが、できれば、直接会って話し合う機会を作ってください。自宅だと冷静に話し合いができない場合には、外の喫茶店などで話をした方が良いでしょう。どうしても2人で会うのが嫌な場合には、第三者に立ち会ってもらってください。
当事者間での話し合いが困難な場合には、家庭裁判所に調停を申し立てる方法があります。調停では、お互いが直接顔を合わせて話し合いをするわけではなく、調停委員が間に入って話し合いを進めてくれます。
Q. 夫と離婚について話し合いをしています。条件面でなかなか折り合いがつきませんが、弁護士を立てるようなお金はありません。離婚するにはどうすればいいですか?
A. 離婚自体には合意しているけれど、条件面での合意ができない場合でも、離婚調停を利用できます。調停は弁護士を立てなくても自分でできますし、費用も数千円程度しかかかりません。双方とも離婚に合意している場合には、話し合いがまとまらずに調停が成立しない場合でも、審判という形で決着がつくこともあります。
離婚協議書・公正証書について
Q. 離婚するので公正証書を作りたいです。すぐにできますか?
A. 公正証書を作成するには、公証人と事前に打ち合わせをして公正証書案を完成させ、日程調整した上で、ご夫婦揃って公証役場に出向く必要があります。また、公正証書作成のために必要となる書類もあり、書類の取り寄せに時間がかかることもあります。
必要書類もすべてそろっており内容もほぼ確定している状態でも、公証役場の予約を取れるのが2~3週間先になることもよくあります。できれば1か月以上は余裕をみていただければと思います。
Q. 離婚公正証書を作成するときには、どのような書類が必要になりますか?
A. 離婚公正証書作成時の必要書類は、次のとおりです。
・戸籍謄本
離婚届提出前に公正証書を作成するのであれば、ご夫婦とも同じ戸籍に入っていますから、戸籍謄本は1通でかまいません。
既に離婚届を提出している場合には、ご夫婦が別になった新しい戸籍が1通ずつ(計2通)必要です。新しい戸籍謄本は離婚届提出後すぐには出ませんから、新しい戸籍謄本が取れるようになってから公正証書作成を行うことになります。
・身分証明書(本人確認書類)
運転免許証があればご用意ください。
運転免許証がない場合、パスポート、マイナンバーカード、印鑑証明書のいずれかが必要になります。
なお、代理人が出頭する場合には、その人の身分証明書のほかに、本人が実印を押した委任状と印鑑証明書が必要です。
【不動産の財産分与がある場合】
・登記事項証明書(登記簿謄本)
法務局で取得します。
・固定資産税の課税明細コピー(または固定資産評価証明書)
固定資産税の納税通知書に添付されています。
【年金分割を行う場合】
・年金分割のための情報通知書
年金事務所で「年金分割のための情報提供請求書」を提出して請求すると、自宅宛郵送されてきます。請求後通知書が届くまで1か月程度かかることがあるので、早めに請求しておく必要があります。
・基礎年金番号がわかる書類
「年金分割のための情報通知書」には、請求を行った側の基礎年金番号しか記載されていません。そのため、他方の基礎年金番号を確認するために、年金手帳のコピーなどが必要になります。
Q. 公証役場で公正証書を作成してもらうにはどれくらいの費用がかかりますか?
A. 公証役場での公正証書の作成手数料は、公正証書に記載する事項や取り決めした金額によって変わってきます。具体的には、下記のようになっています。
目的の価額 | 手数料 |
---|---|
100万円まで | 5,000円 |
200万円まで | 7,000円 |
500万円まで | 11,000円 |
1,000万円まで | 17,000円 |
3,000万円まで | 23,000円 |
5,000万円まで | 29,000円 |
1億円まで | 43,000円 |
(※以降省略)
なお、養育費については、10年を超える場合でも10年分で計算します。
また、公正証書に書かれた金額をトータルして手数料を計算するのではなく、養育費、慰謝料、財産分与等のそれぞれの金額で手数料を算出し、算出された手数料を合計することになります。
例)現在8歳の子どもについて、養育費月5万円を20歳まで支払ってもらい、慰謝料200万円、財産分与として500万円をもらう場合
○養育費 5万円×12か月×10年=600万円→手数料17,000円
○慰謝料 200万円→手数料7,000円
○財産分与 500万円→手数料11,000円
公正証書全体の手数料 17,000+7,000+11,000=35,000円
さらに、上記の証書作成手数料以外に、謄本手数料(コピー代)や送達費用(送達を希望する場合)がかかってきます。
参考までに、離婚公正証書作成費用の相場は、取り決め事項が養育費だけで比較的額が少ない人で2万円程度、それ以外は3~5万円程度の人が多いです。
Q. 妻と離婚する予定です。財産も特になく、慰謝料を支払うようなこともありません。子どももいないので、特に決めておくこともないので、離婚協議書は不要ですよね?
A. 離婚後も、財産分与については2年以内、慰謝料は3年以内は請求が可能です。後で請求されるなどしてトラブルになることのないよう、お互いに債権債務が残っていない旨を記載した離婚協議書を作成しておくのが安心です。
Q. 今すぐ離婚するつもりはないのですが、将来離婚になったときに備えて、離婚条件を書面にしてもらえますか?
A. 離婚協議書は基本的には離婚を前提に作成するものですので、離婚するかどうかわからない段階で作っても、効力を否定されてしまうことになります。もちろんその辺をご自身が納得した上で書面を作成するのであれば、お手伝いは可能です。また、書面作成にこだわらなくても、夫婦間の問題を解決する方法はありますので、そういった方法をご一緒に考えさせていただくこともできます。
養育費について
Q. 離婚することが決まりましたが、夫が養育費をきちんと払うとは思えません。夫の親に保証人になってもらうことはできますか?
A. ご主人の親御さん自身が納得されているのであれば、保証人になってもらうことはできます。なお、この場合、公正証書を作成するのであれば、保証人も一緒に公証役場に出頭する必要があります。
離婚後の生活について
Q. 離婚後は、私が子どもを引き取ってシングルマザーになる予定ですが、本当にやっていけるのかどうか心配です。
A. シングルマザーになる方は、自分の収入や相手からもらう養育費のほか、どういった支援制度があるのかを考慮して生活設計をする必要があります。準備が不十分であれば、離婚後「こんなはずじゃなかった」と思うこともあるはずです。当オフィスでは、離婚後の生活設計についてご一緒に考えさせていただきます。私自身、シングルマザーですので、ご依頼者様の悩みもよくわかります。ぜひご相談ください。
Q. 離婚したら母子手当(児童扶養手当)をもらえると聞きました。離婚届を出した月から手当を受け取ることができるのでしょうか?
A. 児童扶養手当を受給するためには、離婚後に役所で申請手続きをする必要があります。受給開始は申請手続きが完了した翌月からになります。母子家庭であれば必ず支給されるわけではなく、所得に応じて受給額に制限があり、ある程度の所得があれば手当の金額はゼロになります。
児童扶養手当は毎月振込されるわけではなく、2か月分ずつ、後払いで支払われます。申請手続きが完了した後、振込月まで期間があいてしまうこともありますから、そのつもりで生活費の準備をしておきましょう。
ご相談・ご依頼について
Q. 離婚の相談に行きたいのですが、小さい子どもがいて出られません。
A. 小さいお子さんがいて出かけられない場合には、こちらからご自宅まで伺うことも可能です。大阪近郊でしたら、交通費のみご負担いただければお伺いしますのでご相談ください。
Q. 協議離婚を考えています。公正証書作成までどれくらい日数がかかりますか?
A. 公正証書を作成し、離婚届を提出するまでには、様々な準備が必要です。
もちろんケースにより差はありますが、ご依頼から公正証書作成・離婚届提出までは3~6か月程度の方が多くなっています。
電話受付 月~日:9時~18時06-6606-9814電話には出られないことがあります。お問い合わせはできるだけメール・LINEでお願いします。
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