別居合意書に記載すべきことは何?
夫婦問題が起こった際の冷却期間として、また、離婚の準備段階として、別居期間を設けることも多いと思います。夫婦が別居するときには、別居合意書を作成しておきましょう。
別居合意書とは、別居中の約束事を書面にしたものです。ここでは、別居合意書に記載しておくべきことをご説明します。
1.双方が別居に合意していること
結婚している夫婦には、同居義務があります。相手の同意を得ず一方的に別居した場合には、相手に同居を請求される可能性もあるということです。ちなみに、同居請求は、家庭裁判所に調停(円満調停)を申し立てて行います。
双方が別居に合意していることを明確にすることで、相手に同居請求されることを防止できます。
2.別居期間
別居期間は、具体的に決めても決めなくてもかまいません。別居期間を決めた場合には、別居終了時に同居や離婚について話し合うことも書いておくとよいでしょう。
別居期間を決めない場合には、「当面の間(当分の間)別居する」としておきます。
3.別居中の婚姻費用
結婚している以上、夫婦には婚姻費用の分担義務があります。収入の少ない側や子どもと同居する側は、相手に対して生活費を請求できるということです。
婚姻費用の相場はどれくらい?
婚姻費用の相場は、裁判所の養育費・婚姻費用算定表で確認できます。ただし、2人いる子どもをお互いが1人ずつ面倒を見る場合など、算定表でカバーされていないケースもあります。この場合には、専門家に相談して適正な額を計算してもらうとよいでしょう。
もちろん、両者が合意していれば、相場に関係なく婚姻費用を設定してかまいません。
【参考】養育費・婚姻費用算定表(裁判所)
過去の婚姻費用も請求できる
既に別居を開始している場合、相手が納得すれば、過去の婚姻費用を払ってもらうこともできます。この場合には、過去の分をどのような形で支払うかを決めておきましょう。
ちなみに、調停で婚姻費用を請求する場合には、過去の分は請求できません。過去の分を払ってもらいたいなら、話し合いで合意した方がよいということです。
なお、毎月の生活費以外に臨時でかかる費用(医療費や進学費用など)は、別に決めておくのが安心です。
4.子どもの監護者・面会交流
子どもがいる場合、どちらが子どもと同居して世話をするかを記載します。
子どもと別居親との面会交流についても、どのようにするかを決めておきましょう。園行事や学校行事への参加についても決めておいた方が良い場合があります。
5.児童手当の受け渡し方法
国の制度で中学生までの子どもがいる家庭に支給されるのが児童手当。児童手当は本来子どもを養育している親が受け取るものです。しかし、別居中、妻が子どもと同居しているのに、夫の口座に振り込まれるケースが多いと思います。
児童手当を子どもと別居している側が受け取っている場合には、児童手当の受け渡し方法についても決めておいた方がよいでしょう。
なお、離婚を前提とした別居の場合、家庭裁判所で調停を行っている旨の証明書または行政書士などが作成した離婚協議中の証明書を提出すれば、役所で受給者変更をしてもらえる場合があります。
6.連絡先変更の通知
別居中、住所や電話番号、メールアドレスを変更した場合には、速やかに連絡先を通知する旨も約束しておきましょう。
今は、LINEで連絡をとることが多いですから、住所や電話番号を知らせなくても大丈夫と思っている人もいます。しかし、機種変更などの際にLINEが使えなくなり、連絡がつかなくなって困ることがあります。
まとめ
別居合意書には、上記以外にも記載しておいた方がよいこともあります。何を約束すべきかをピックアップし、きちんと話し合いをしておきましょう。
別居合意書は公正証書にすることもできます。公正証書を作成しておけば、強制執行に備えられます。公正証書にしなくてもいいけれど、約束したという確かな証拠を残したい場合には、公証人の認証(私文書認証)をつける方法もあります。
別居合意書作成は、当事務所までご相談ください。