離婚届の作成方法と注意点

離婚届というのは、一生のうち出すことがあっても、そう何度も出すものでもありません。
離婚届を役所に出せば離婚できるということは知っていても、具体的にどのような手続きになるのかはご存じない方も多いと思います。
ここでは、離婚届の入手や作成方法、注意点をご説明します。
(※離婚届については、役所によって扱いが違うことがありますので、細かいことは提出する役所に確認してください。)

離婚届の入手方法

離婚届はどこでもらう?

離婚届の用紙は、どこの役所(市区町村役場)でも置いています。
「離婚届の用紙をください」と窓口で言いにくいという人もいますので、最近は窓口付近に置いてあり、自由に持ち帰りできる役所が多くなっています。

なお、結婚の際に姓を変えた側は、離婚により原則として旧姓に戻ります。
結婚していたときの姓をそのまま名乗り続けたい場合には、離婚から3か月以内に「離婚の際に称していた氏を称する届」を役所に提出しなければなりません。
通常は、この届も離婚届と同時に出すので、離婚届とセットになって置かれている場合が多くなっています。

提出する役所でもらわなければならない?

離婚届は、本籍地または住所地の役所に出すことになります。
ただし、離婚届の用紙は全国共通ですから、どこの役所でもらってもかまいません。

なお、自治体によっては、離婚届の用紙にあらかじめ「○○市長殿」などと宛先が印刷されていることがあります。
この場合でも、宛先部分を訂正して出せばOKです。

また、インターネットでも離婚届の用紙をダウンロードできます(A3の用紙に印刷する必要があります)。
ただし、役所によってはダウンロードした離婚届は受け付けてもらえないケースがあるため、事前に確認しておきましょう。

離婚届は何通必要?

役所に提出するのは1通でかまいません。
けれど、書き間違えることがありますので、2通程度もらっておきましょう。
自分は書き間違えない自信があっても、証人が書き間違えるケースもありますから、余分にもらっておいた方が安心です。

 

離婚届の記載方法

離婚届の用紙をもらうときには、通常、記載例も一緒にもらえますので、記載例に従って書きます。
記載する事項は、次のとおりです。

1. 氏名及び生年月日

夫婦それぞれの氏名及び生年月日を記載します。

2. 住所

離婚時点で夫婦それぞれが住民登録している住所と世帯主の名前を書きます。

3. 本籍

結婚している間の夫婦の本籍は同じですから、その本籍及び筆頭者を記載します。

4. 父母の氏名及び続柄

夫婦それぞれの父母の氏名と続柄(長男、長女など)を記載します。

5. 離婚の種別

協議離婚の場合には協議離婚にチェックします。
裁判所を通して離婚した場合には、調停や審判などの種類にチェックをし、成立日や確定日を記載します。

6. 婚姻前の氏にもどる者の本籍

結婚により氏を変更した側は、離婚後元の戸籍に戻るか、自分だけの新しい戸籍を作るかを選ぶことになります。
元の戸籍に戻る場合にはその本籍を、新しい戸籍を作る場合には本籍をどこにするかを決めて記載します。

なお、氏を変更した側が子どもを自分の戸籍に入れたい場合には、元の戸籍に戻るのではなく、新しい戸籍を作る必要があります。
この手続きは離婚届とは同時にはできず、離婚後に家庭裁判所で手続きする必要があります。
もし子どもを自分の戸籍に入れたいのにうっかり元の戸籍に戻るを選んでしまっても、後で新しい戸籍を作ることはできますから、心配いりません。

7. 未成年の子の氏名

夫が親権を行う子、妻が親権を行う子に分けて子どもの氏名を書きます。

8. 同居の期間

同居を始めた年月(挙式した年月か同居開始の年月の早い方)と別居した年月を書きます。
わからなければだいたいでかまいません。

9. 別居する前の世帯のおもな仕事と夫婦の職業

統計目的に利用されるため記載が求められます。

10. 届出人署名押印

夫婦それぞれが自書し、押印(認印で可)します。
ここまでの他の事項は誰が書いてもかまいませんが、届出人署名押印欄は夫婦それぞれが記載する必要があります。
離婚届を出す時点ではまだ夫婦ですから名字は同じですが、印鑑は別々のものを使います。
なお、裁判所で離婚が決まった場合には、一方のみが届出人になりますから、他方の署名押印はいりません。

11. 証人

協議離婚の場合には、証人2名が必要です。
証人は20歳以上の人なら誰でもかまいません。
証人は離婚届の証人欄に署名押印し、生年月日、住所、本籍を記載します。

12. 面会交流、養育費の取り決めをしているかどうか

面会交流及び養育費の取り決めをしているかどうかについてチェックを入れる欄があります。
取り決めをしていなければ離婚届が受理されないわけではありませんが、記載欄があることで、取り決めを促す効果もあると思われます。

離婚届提出時の注意点

本籍地以外に出す場合には戸籍謄本が必要

離婚届を本籍地以外の役所に提出する場合には、戸籍謄本1通を添付しなければなりません。
本籍地が遠方の場合、郵送で取り寄せるには時間がかかりますから、思いどおりの日に出せないことがあります。

提出時に本人確認書類が必要

離婚届を役所の窓口に提出するときには、本人確認がありますから、免許証などの本人確認書類を持参する必要があります。

本人以外が持って行ってもいい?

協議離婚の場合、離婚届への署名押印は本人がする必要がありますが、役所の窓口への提出は他の人に頼んでもかまいません。
この場合には、委任状は不要ですが、提出する人の本人確認書類の提示を求められます。

時間外に持っていくなら事前に連絡を

役所が開いている時間に離婚届を持っていくことができない場合、時間外窓口に持って行く方法もあります。
この場合、役所によっては事前に電話連絡が必要なことがありますので、確認しておきましょう。

離婚届不受理申出が出ていれば先に取り下げが必要

離婚前にどちらかが離婚届不受理申出を役所に出していれば、離婚届は受理されません。
離婚届を提出するには、不受理申出を取り下げする必要があります。
この取り下げは、不受理申出をした本人しかできません。
離婚届提出前か提出と同時に、不受理申出をした側に役所に行ってもらう必要があります。