協議離婚しない方が良いケースもある

「離婚するなら円満に協議離婚したい」と考える人は多いと思います。

しかし、どんな人にでも協議離婚がおすすめなわけではありません。

協議離婚しない方がいいのはどのようなケースかを具体的にまとめてみます。

1. 相手が暴力をふるう

相手が暴力をふるう場合、冷静な話し合いはできません。

無理に協議離婚しようとせず、裁判所の力を借りるのがおすすめです。

2. 相手が威圧的で反論できない

言葉の暴力というほどでなくても、相手に威圧的な言い方をされると何も言えなくなる人は多いと思います。

特に、夫婦間の力関係として、ずっと相手に一方的に従ってきた人は、離婚となってもなかなか言いたいことが言えないものです。

2人で話し合うと、結局相手に言いくるめられてしまい、不利な条件で離婚をしなければならなくなることもあります。

このような場合にも、無理に協議離婚しない方がよいでしょう。

3. 相手が自営業で収入がよくわからない

養育費はお互いの収入を基準に決めることになりますが、相手の収入が正確にわからないことも珍しくありません。

役所で納税証明書を取る方法もありますが、相手が自営業者の場合、年収を低く申告しており、養育費の額も低くなってしまうことがあります。

このような場合にも、裁判所を通した方が、養育費を多く請求できる可能性があります。

自営業者の場合、事業用資産と個人資産が明確に分けられていないこともあり、協議離婚すれば財産分与で損することもあります。

妥協したくないなら、弁護士に依頼するか裁判所を通すことを考えましょう。

4. 財産を半分ずつ分けると公平でない

財産分与では、夫、妻とも2分の1の割合で財産を分けるのが原則ですが、例外もあります。

特別なスキルがあって高収入の人の場合には、個人の能力や努力が財産形成に大きく影響しているとして、裁判では財産分与割合が多めに認められることがあります。

夫婦折半だと不公平と感じる場合には、裁判所まで持って行った方がいいかもしれません。

5. 定年まで10年以内

定年退職の時期が近い場合(概ね10年以内くらい)には、退職金の財産分与ができます。

とはいえ、将来の退職金の分与額をどう計算したらよいのかは、かなり難しい問題です。

金額もあいまいであれば、なかなか合意できないことがあるので、裁判所で決めてもらった方が安心です。

6. 別居しているのに生活費を払ってもらえていない

別居しているのに相手に生活費を払ってもらえてない場合、離婚の話し合いが長引けば、その間の生活費が心配です。

このような場合には、家庭裁判所に婚姻費用分担請求と同時に離婚調停を申し立てて、家庭裁判所で話し合いをするのがおすすめです。

7. 慰謝料を相場より多く払ってもらいたい

離婚の慰謝料の相場は200万とか300万とか言われてますが、これも絶対ではありません。

裁判になった場合には、いろいろな事情を考慮して慰謝料額を算定します。

悪質なケースではもっと慰謝料が増える可能性もあるので、妥協したくないなら裁判所を通しましょう。

まとめ

当事者間で話し合いができない場合、必ず調停離婚や裁判離婚になるわけではありません。

弁護士に代理人になってもらい相手と交渉してもらえば、協議離婚が成立することもあります。

弁護士は、過去の裁判例などを調べて、裁判になったらどうなるかという前提で話を進めてくれますので、相手も「応じなければどっちみち裁判で負けてしまう」と納得することが多いのです。

弁護士に依頼しない場合、調停までなら自分でできますし費用もかかりませんが、時間や手間がかかってしまうというデメリットもあります。

調停するかそれとも弁護士に依頼するか、どちらを選ぶかはご自身の事情や希望に応じて決めてください。