養育費の決め方のいろいろなパターン
お子さんがいる夫婦が離婚するときには、別居する方の親(以下、父親と仮定)が養育費を支払う約束をするのが通常です。養育費は必ず「月○万円」と決めなければならないわけではありません。ここでは、養育費の決め方のいろいろなパターンについてご紹介します。
1.月額と進学時の支払額を決める
たとえば、毎月の養育費として6万円、高校進学時に50万円、大学進学時に100万円などと決める方法です。
養育費算定表の金額は、高校まで公立の学校に通わせる場合を想定して出されたものです。つまり、養育費算定表を基準に決めてしまうと、私立高校に通う場合に余分にかかる費用や大学・専門学校でかかる費用が足りないことになってしまいます。
進学時にかかる費用は、月額養育費とは別に支払う形できめておくのがおすすめです。
2.ボーナス時に増額
父親側の毎月の給料が少なくて十分な金額の養育費が受け取れない場合には、ボーナス時に多めに払ってもらう方法があります。
払う側もお金があるときに払った方が負担になりませんし、受け取る側も年間トータルで考えると必要な養育費を確保しやすくなります。
3.金額を段階的に変える
たとえば、小学校卒業までは6万円、中学校からは8万円などと決める方法です。
養育費は離婚時の子どもの年齢を基準に決めますが、子どもが大きくなるほどかかる費用も増えるので、当初決めた金額では少なくなります。
大きくなったときに改めて決め直す約束をしてもかまいませんが、離婚後は話し合いがしにくくなることもあります。子どもが何歳からいくらという具体的な金額を最初から決めておいた方が安心です。
4.養育費全額を一括払い
子どもが大学卒業(または成人)までにかかる養育費の全額の一括払いが可能なら、一括払いにしてもかまいません。
一括払いは、受け取る側にとっては養育費を確実に受け取れるメリットがありますし、払う側にとっても早々に支払義務から解放されるというメリットがあります。
子どもがまだ小さいなら一括払いは困難なことが多いですが、子どもが既に高校生くらいなら払えるケースも少なくないと思います。一括払いも検討してみましょう。
5.養育費全額を分割払い
大学卒業(または成人)までの養育費の全額を計算し、それをできるだけ短い期間で分割払いする方法です。たとえば、大学卒業まではあと10年あるけれど、養育費は5年で払いきってもらうといった方法になります。
離婚後、特に男性(父親)側は再婚する可能性が高いです。父親側が再婚すれば、養育費を減額される可能性もあります。分割払いにしておけば、早めに養育費の全額を回収できるので、受け取る側にとっては安心です。
父親側にとっても、早期に養育費の支払義務から逃れられるというのは、メリットと言えるでしょう。
6.ライフプランに合わせて支払い額を変える
子どもにかかる金額は、ずっと一定ではありません。払う側の収入や支出も、年によって変わるのが普通です。こうしたことから、養育費もライフプランに合わせて設計するのがいちばんおすすめです。
たとえば、受け取る側の都合で考えると、子どもが進学する年は多めにもらえるようにする。支払う側の都合で考えると、生命保険の満期金が入る年には支払い額を多めにし、大きな出費が予定されている年には支払い額を少なめにするといった方法です。
お互いの事情を考慮して金額を柔軟に設定しておけば、支払う側は計画的にお金を準備でき、受け取る側も安心できます。養育費の支払い金額を決めるときには、できるだけこのパターンに近づけるのが理想です。