無理に話し合わなくてもいい!協議離婚がおすすめでないケースとは?
「直接話し合って円満に離婚したい」「弁護士に頼んでまで離婚したくない」という方も多いと思います。けれど、どんな場合でも協議離婚がいちばんというわけではなく、裁判所や弁護士の力を借りた方があります。協議離婚がおすすめでないケースとは、どんなケースかを知っておきましょう。
1. 相手が暴力をふるう
相手のDVがある場合、離婚の話をすれば相手がキレて暴力をふるわれる可能性があります。暴力をふるう相手と、無理して話し合いをする必要はありません。
離婚したいなら、まずは安全な場所に避難しましょう。状況に応じて、配偶者暴力相談支援センターの力を借りることもできます。調停を申し立てるか、弁護士に相談して、離婚に向けての手続きを進めましょう。
2. 相手の威圧的な態度により何も言えなくなる
暴力はふるわないけれど、気に入らないことを言うと嫌がらせをしたり、威圧的な態度をとったりする相手もいます。結婚生活において、いつも自分が妥協せざるを得なかった、相手に対して言いたいことを言えずにきたという人は、相手と冷静に離婚の話をするのは困難です。
2人だけで話し合うと、相手に言いくるめられてしまい、離婚で着なかったり、不利な条件をのまなければならなくなったりします。このような場合には、無理に話し合いをしようと頑張る必要はありません。裁判所や弁護士の力を借りましょう。
3. 相手がいくら稼いでいるのかわからない
相手の収入がわからなければ、養育費として妥当な金額を算出できません。相手の収入がわからなければ、養育費も相手の言いなりになってしまう可能性があります。
所得については、配偶者は役所で納税証明書を取って確認できる場合があります。ただし、既に別居していればそれもできないのが通常です。
調停を利用すれば、相手も所得証明を出さなければなりませんから、適切な養育費の金額を算出してもらえます。
4. 相手が自営業者である
自営業者の場合、所得を低く申告しており、それに合わせると養育費の金額も非常に少なくなってしまうことがあります。
また、事業用の資産と個人の財産が明確に分けられておらず、相手の言いなりになると、財産分与で損をしてしまいかねません。
このような場合、妥協せず、弁護士に相談した方が、多くの金額を獲得できる可能性があります。
5. 半分ずつ財産を分けると公平でない
財産分与では、夫も妻も2分の1ずつの割合で財産を分けるのが原則です。けれど、裁判になった場合でも、例外的に2分の1ずつ以外の財産分与が認められるケースはあります。
たとえば、自らの特殊なスキルで高収入を得ている人は、個人の能力や努力が財産形成に大きく影響していると考えられますから、その分財産分与割合も多くなります。2分の1にするとかえって不公平になると思われるなら、裁判所を通した方が公平な判断をしてもらえます。
6. 定年まで10年以内
離婚するときに定年退職の時期が近い場合(概ね10年以内くらい)には、まだ受け取っていない退職金の財産分与も可能です。ただし、退職金の分与額をどう計算するかは何通りかあり、受け取り時期を離婚時にするか退職時にするかでも金額が変わってきます。
将来の退職金の財産分与をする場合、金額もあいまいですから、合意するのも困難です。このような場合には、裁判所で決めてもらった方が安心です。
7. 離婚までの生活費を払ってもらえない
既に別居しているけれど、相手に生活費をもらえていないという人も多いと思います。離婚の話し合いが長引きそうであれば、その間の生活費が心配です。
このような場合には、家庭裁判所に婚姻費用分担請求と同時に離婚調停を申し立てて、家庭裁判所で話し合いをした方がよいでしょう。
8. 慰謝料の適切な金額がわからない
離婚の際の慰謝料の相場は200~300万とか言われていますが、必ずこの範囲内におさまるというわけではありません。裁判になった場合には、いろいろな要素から慰謝料額を算定します。状況によっては、これよりも高い慰謝料をもらえる可能性もあるということです。
相手に提示された慰謝料の金額に納得がいかないなら、妥協せず、弁護士に相談するのがおすすめです。
まとめ
当事者間で話し合いができそうにない場合、必ず調停離婚や裁判離婚になるわけではありません。弁護士に代理人となってもらい、相手と交渉してもらうことで、協議離婚が成立することもあります。
弁護士は、過去の裁判例を調べて、裁判になったらどうなるかという前提で話を進めてくれますので、相手も「応じなければどっちみち裁判で負けてしまう」と納得することが多くなります。
弁護士に依頼すれば、費用はかかりますが、早期に決着することが多くなります。調停までは自分で進めることもできますが、時間や手間はかかります。事情や状況によってどうすべきか考えましょう。